BOOKS in Review
パパ、ママどうして死んでしまったの―スウェーデンの子どもたち31人の手記
西村 多寿子
pp.52-53
発行日 2009年5月1日
Published Date 2009/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661101448
- 有料閲覧
- 文献概要
看護師として、ひとりの人間として、心を揺さぶられる本
親との死別を経験した子どもたちの手記
笑って読める本ではない。父や母を亡くした子どもたちの悲しみや心の叫びを受けとめるエネルギーが必要である。原著のタイトルはスウェーデン語で「それでもあなたはわたしといっしょにいる」。スウェーデンで2005年に出版、その後、フィンランド語と英語で翻訳出版され、編者のスサン・シュークヴィスト氏は2007年の英国ヤングマインズ・ブック賞を受賞している。同賞の審査員のひとりは「死別を経験した人にも、あるいはそういった人たちを支える人たちにも本書を推薦したいと思う」と語ったそうである。
紹介している親の死因はさまざまで、全体的にはがんや心臓病などの病死が多いが、自殺や交通事故、内戦、家庭内暴力で父親が母親を殺したケースもある。2004年12月のスマトラ島沖地震による大津波で両親を亡くした兄妹もいる。本書の副題に「子どもたち」とあるが、13歳以上のティーンエイジャーの手記が3分の2を占めている。
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.