らいを超えて・11
甦る日のために(2)
前浜 政子
1
1長島愛生表
pp.1196-1199
発行日 1979年11月1日
Published Date 1979/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918817
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北高さんが長い間の自宅療養の果てに,病気を悪化させて入園したのは,昭和34年.入園時の症状は,全身に発生したらい性潰瘍,知覚麻痺と手足の変形,重度な顔面の腫脹と外鼻の腫大,特に喉頭狭窄から起こる呼吸困難は,らいの末期的症状であった.
内科病室に入室後,直ちに治療が開始された.スルフォン剤プロミンによる効果は,喉頭狭窄の呼吸困難を鎮め,気管切開の予定を中断した.北さんは‘死に場所のつもりで,自分の葬式を愛生に持ちこんだつもりで入園したのに,内科病室に入って治療が開始されてから,息苦しかった呼吸が楽になって,命びろいをしたなと思った.葬式を出さずに済んだ’と北さんは笑いながら,プロミンの効果を証明する.
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