らいを超えて・10
甦る日のために(1)
前浜 政子
1
1長島愛生園
pp.1083-1087
発行日 1979年10月1日
Published Date 1979/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918796
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京都府と兵庫県の県境にあるひなびた山村に,秋の運動会の日が近づいた.運動会の呼びものは,青年団による部落対抗のリレー競走である.青年たちは練習に熱中していた.その1人であるK部落の小柄な若者がスタートを切って走り出した時,先輩格のコーチが大声で呼びとめた.
‘走る時の呼吸の仕方が悪い,いいか,スッスッパッパ,スッスッパッパと呼吸を整えて走るんだ’と注意を与えた.注意された若者は,コーチの指導どおりに走ってみるが,途中からハアーハアーと息が荒くなる,何回やり直しをさせられても,スッスッパッパと調子にのった呼吸ができない,とうとうコーチが首をかしげて言った.‘お前,どこか悪いのと違うか,医者へ行って診てもらえ’
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