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はじめに
ある集団を訓練によって下肢の関節の屈伸状態を一定角度の繰り返し運動とし,さらに歩幅と速度を一定にするとの条件のもとに歩行できる状態にして,個々の歩行状態を記録するとすればその記録方法がどのような形であっても,一定したパターンとして記録が可能であり,解読分析も容易であることは論をまたない.しかし個人個人が特徴的な肢位運動とリズムを持つ自由歩行の記録となると必ずしも正常歩行として一定の枠内で論ずることはきわめて困難であり,類似性を持ついくつかのパターンとして分類さるべきものと考えられる.歩行分析に関しての研究の歴史は古く,1936年にWeber兄弟により機械的分析による歩行に関しての研究が報告されて以来幾多の先人によっていろいろの方法で歩行の解析が行なわれてきている.しかし,歩行は三次元的な連続的な前進運動であり,かつまた自由歩行となるとその解析方法も複雑多岐であり,その記録の解読についても決して容易なものであるとはいえない.Mareyは写真技術をとり入れ歩行の分析を試みたがのちに飯野教授の三次元同期撮影記録法への発展の基を作りあげ,かつは映画・テレビ・ストロボ連続撮影等による解析方法にまで発展した.一方では歩行に関与する下肢筋の役割りを分析する方法に関してScherbが初めてMyokinesigraphieを完成させ筋電図学的方法に発展させるいとぐちを導きだし,これらに関しての研究報告も多い.またSchwartzやVeathは1932年足底に加わる圧の変化を空気圧を利用して測定を行ない,一方ではHolden,中村氏等の足圧痕測定法があり,これらの方法より足底圧の変化を電気的に測定分析する方法にまで発展し,この研究も盛んに行なわれているのが現状である.
私たちは1968年より歩行時における足底の接床面に作用する圧についての分析について検討を重ねてきた.下肢の関節に特別の病変を認めない正常な人でも自由歩行の様想を観察していると着床時における足関節の肢位に内反位あるいは外反位の状態が見られる特徴があることを認めることができる.股関節や膝関節に運動制限がある場合は歩行時の安定性を保つために特に足関節の肢位に特徴ある状態を示すことは決して少なくない,これらの歩行平衡度台について検討を行ない,臨床的にも応用が可能な方法と思われたのでその方法について述べることにする.
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