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はじめに
この20数年来,国民衛生の動向によれば,脳血管障害,心疾患,呼吸器疾患,新生物,筋骨格系および結合織疾患,不慮の事故などの有病率は高い割合を示している.さらにこれらの疾患に加えて,神経系疾患,精神疾患などは,その回復の過程で,あるいは障害をもったまま現状を維持する場合においても,リハビリテーションが必要である.しかもリハビリテーションを必要とする対象者は増加の一途をたどっている.
一方,最近の医学における診断・治療の進歩に伴い,リハビリテーションの重要性が医療関係者のみにとまらず,一般社会の人々にも,その認識がひろまってきている.
そして,リハビリテーション医療にたずさわる医師,理学療法士(PT),作業療法士(OT),言語療法士(ST),心理療法士(PsT),ソーシャルワーカー(MSW)などの活躍は目ざましく,リハビリテーションといえば,PT,OT,STなどが行う訓練指導に代表されるまでになっている.しかし,PT,OT,STなどによる訓練は1日1時間~2時間位であり,そのリハビリテーション訓練の効果をより確実に身につけ,応用できるのは日常生活の場である.
入院中であれば,病棟の看護婦は四六時中患者のケアーをするために,その生活の場にいるわけである.生活の場では,PT,OT,STなどの訓練を実際に生かし,調整,統合させる必要があり,その役割を看護婦が果さなければならない.つまり患者のケアーを担当する看護婦が最も適した職種であろうと考えている.そうすることによって,医療チーム各分野の専門性が十分反映され,対象者の回復がスムーズになるであろう.
看護の役割を果すためには,PT,OT,STなどと同じレベルの専門的知識・技術を習得する必要はないが,それを十分に理解できる知識と,実践できる日常生活動作の基本的援助技術が必要となろう.そしてこれらが看護教育の中で行われることが望ましいが,現在の看護教育は多様化し,施設設備および教師などの諸問題もあって,実際には十分といえるものがなされていない現状である.
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