Japanese
English
特集 聴覚障害者のリハビリテーション
ろう学校における教育の問題点―教育方法上の問題
The Problems of the Education for the Deaf: The Problems on the Methods of Instruction.
上野 益雄
1
Masuo Ueno
1
1筑波大学
1The University of Tsukuba.
キーワード:
ろう教育
,
インテグレーション
,
卜ータルコミュニケーション
Keyword:
ろう教育
,
インテグレーション
,
卜ータルコミュニケーション
pp.713-718
発行日 1976年9月10日
Published Date 1976/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103622
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教育を考える場合「教育実践の成功している面によって判断するよりも,失敗している面によって判断すべきである」という考え方に立つのが本当であると思う.普通教育において,今日その成果が問題とされ,多くの関心をひき起しているが,ろう教育においてはその成果について,もっとむずかしい問題が,教師をはじめこの教育の関係者たちを苦しめている.“ろう児も,普通児に劣らない,正常者とかわらない”というスローガンとそのための努力によって,今日のろう教育は一応の成功をみたのだし,目をみはるような目ざましい達成を示した者も多数いることは事実である.しかし,このことで多くの取りのこされたものをみすごすわけにはいかない.普通学校ヘインテグレートする者の増加,難聴学級・言語障害児学級の増加による,従来ろう学校へ在籍したであろう児童の移動,さらに重度の障害児の受け入れなどが,追いうちをかけている.
現実に高学年になると教師・生徒の努力にもかかわらず,生徒の伸びは頭うちとなる.低年齢で示した,教師・両親を喜ばせた進歩は,教科学習と言語学習ではみせなくなる.熱意とあせりが入りまじり教師を無駄に疲れさせる.ろう教育において,それぞれの年齢段階の教育に取りくむときに,実は乳児期から成人までの発達を考慮に入れて,はじめてそれぞれの課題にとりくめることになると思う.
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