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リハ協議会の発足と活動の概要
リハビリテーション(以下リハと略す)における地域活動は,その解釈の多様化によりいろいろな理解がされるが,実際には,①小,中地域における常時行われる地域組織活動,②広域における在宅者,またはグループに対する訪問指導的なリハ活動に大別されるようである.この広域的な活動については,兵庫県においても身障更生相談所の企画のもとにリハセンターの専門職員が協力して,年間約50回の巡回相談と在宅指導訪問を行っている.その判定内容を,昭和45年より49年まで年次的にみると図1の通りである.肢体障害が60%をしめ,その内容は,補装具の交付,手帳交付,更生医療等の医学的指導が中心で,他に心理,職業能力,施設入所等の評価判定が含まれている.このうち,義肢装具の処方,適合判定等の内容については,すでに,第12,13回リハ医学会で報告した通りである.
さて,筆者は,昭和35年よりこの各地域への巡回相談で医学的指導を主として担当してきたが,この間に対象の大きな変化があり,老齢化,重度化の傾向を認め,その対策も施設収容型より在宅指導型に移行する必要性を認めている.障害者(児)のニードが多様化し,より地域に密着した形でのリハ活動が要求されている.本来,この地域活動の向上には,専門職種の人達によるリーダ一シップと障害者自身の自主的な動き,および,この動きに対応し,地域のニードを適確につかみうる行政側の対応があれば成功である.ところが,現実にはその地域でのリハに関連する医療,福祉,労働,交通,建築・土木,および民間ボランティア等の各専門職種の機能集団が,すべて国なり県市町村の縦割り行政の枠のなかにはめこまれ,有機的な横割り連携,協調,情報交換等がきわめて不十分であり,折角本来もっている機能を十分に生かしていないのは残念である.これには,役人が縦割り行政機構のなかで,2,3年毎に移動が行われていることも重要な原因であり,極端にいえば,役人の奉仕の相手が障害者,住民にあるよりも「上長」の方に向けられ,官庁幹部も中央の方に向かっての都合が優先しているためである.
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