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編集後記
大井 淑雄
pp.253
発行日 1975年3月10日
Published Date 1975/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103305
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今月の本誌の特集として視覚障害のリハビリテーションが採り上げられた.編集子共々皆素人のものばかりでこの問題に興味を抱きつつも現状の認識さえ満足とはいえないという少々お恥かしい次第であったのである.しかし順天堂大学眼科の中島章先生がゲストエディターとして実に手際良くまたいろいろな細い分野にも配慮されまとまりのよい読み物となった.深く謝意を表する次第である.紙面の都合でひとつひとつ執筆者の名前を掲げて寸評できないのは残念であるけれども赤松恒彦氏から始まり座談会に終るこの一連の視覚障害に関する突っ込んだ問題提起はわれわれの無知を啓蒙するのに役立つ一方,視力障害がいかに人間の正常な社会生活を妨げるかということにも関連して深く考えさせられるものであった.
ことに中島先生が視力障害者の職業というものについて編集会議で私的に論じられたいくつかの挿話でさえ印象的であった.職業復帰に対しての国家レベルでの庇護と対策が急務である.その他講座については福迫,笹沼両氏の講義も順調に進み前後10回に亘る長い連載も終了することになった.この両氏の御苦労に対しても謝辞を述べたい.昨年の12月に行われた第9回関東地方リハビリテーション懇話会が割合に盛況であったことも付記したい.今号は特集が主になり研究と報告が割愛されたが本誌も学術雑誌の1つでありオリジナリティのある研究の成果の発表が最優先される筈である,読者諸賢の投稿を大いに期待するものである.
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