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1979年の最初の号が出た.早いものでこの雑誌も7年目を迎えたわけだが何とか.上昇気運に乗っているようだ.今後共読者諸兄姉の御叱責,御助言を大いにいただきたいと編集子一同気持を新たにしているところである.
今月の特集は「リハビリテーションニード」であった.重度脳性麻痺患者のADL自立と職業について畑田氏が実社会での就労の困難さをあらためて提起しておられる.加倉井氏は福祉機器の開発と展望について,西ドイツ,アメリカなどの系統的な考え方と対比させつつ本邦の51年からの実績を示した.標準化,規格化についての要望はわれわれも同感である.地域医療として先進的実績をあげている神奈川県について,佐藤氏が地域リハビリテーションの現況と施設のニードについて報告された.家族制度の変遷から施設の充足が望まれているとは少々皮肉な話である.地域住民のリハに対する連帯意識などは神奈川では進んでおりわれわれから見ればうらやましいとも思われていたのであるが.リハビリテーションの医療報酬が安すぎるという大村氏の論文は大変興味深かった.これについてはいつの日かまた採りあげて,リハビリテーション医療をこのように学問的にも十分納得できるようにやってなおかつ赤字がでなかった,他の診療科と比較してそれほど遜色がなかった,というような反論がでないものかと考えているところである.特集を補うためにアンケートを採用させていただき,多くの方々の御協力を得たが,ここでも再度深謝する次第である.「講座」も2本新しく衣換えして,リハ治療と循環器についてのシリーズが始まった.その他,今田氏らの杖の話は誰しも興味を持たれることだろう.日本版のBlountの論文というところか,本年もどうぞ「総合リハビリテーション」をよろしくお願いします.
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