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講座
脳性麻痺の神経病理学(1)―臨床像との相関性を中心に(その1)核黄疸と大理石斑紋状態
The Neuropathology of Cerebral Palsy with Special Reference to Relationship to Clinical Features, Part Ⅰ “Kernicterus” and Status Marmoratus
白木 博次
1
Hirotsugu Shiraki
1
1東京大学医学部脳研究所病理部
1Department of Neuropathology, Institute of Brain Research, Tokyo University Medical School
キーワード:
核黄疸
,
大理石斑紋状態
,
臨床・病理相関
,
鑑別診断・病因・病態発生論
Keyword:
核黄疸
,
大理石斑紋状態
,
臨床・病理相関
,
鑑別診断・病因・病態発生論
pp.49-65
発行日 1974年1月10日
Published Date 1974/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103085
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【抄録】 脳性麻痺は,一つの疾患単位ではなく,単なる状態像の総称にすぎない.まずこの前提にたって,その頻度からみて最重視できる疾患として,出産直後に発展する重症黄疸とその後遺症としての核黄疸,ならびに窒息仮死分娩に起因する大理石斑紋状態の神経病理学の中核像をのべ,臨床像との相関性を論じた.その結果,病巣の局在性と性格については,両疾患の間に,ある程度,明確なちがいを指摘できるにもかかわらず,両疾患のアテトーゼの内容,痙性麻痺の程度と合併の有無のみからは,現時点の臨床医学は,既往歴の差の点をのぞけば,両者を適確に鑑別することは困難であり,それはまた,精神障害についても,そのままあてはまる側面をのべた.また両疾患の病因・病態発生機構は,広義の無酸素症または低酸素症に求めうるものの,核黄疸については,代謝障害による血液要素の異常性が,一方,大理石斑紋状態については,器械的意味での血行障害が,それぞれ,その主役を演じうるであろう点を論じた.
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