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編集後記
大井 淑雄
pp.1218
発行日 1973年12月10日
Published Date 1973/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103079
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「総合リハビリテーション」が誕生してちょうど1年が過ぎた.小生は最も後輩の編集子として,この雑誌の成長にいくらかでもお役に立てればと思い,ある時は学問的な内容に不安を抱き,ある時は医学書院の台所の方にまで余計な心配をしながらも手伝って来た.しかし幸いにも,この雑誌は読者諸兄姉の大きな期待と援助に励まされて一応の安定化を示した.このことは,現代の医療の中に占めるリハビリテーション医学の比重の大きさを物語るものであり,さらには医学のみならず教育,社会,行政などすべての包括的なアプローチで患者を捉えることの必須性を示すものである.専門細分化するほど医療は一方では片手落ちの欠点を示さないでもないし,従来の狭義の医療だけでは最早患者のための真の治療は行えないことは理解されよう.このような陥穽を補うための学術雑誌という意味でこの雑誌は作られた.
いろいろの専門分野とのふれ合いは特集などを通じて示すよう努力され,しめくくりとして障害児の教育という問題がとり上げられた.城戸正明氏,早瀬俊夫氏,河辺治氏,織田真一氏,倉持義和氏,川口宏二氏,そして鈴木正里氏らの障害児教育に対する不断の努力にただ頭が下るのみである.しかもまだいろいろな点において十分とは云えないことも諸氏の訴えておられる通りである.子供は成長するものであり,子供の病気をわれわれが考える場合教育を抜いて考えることは出来ない.医師として小生もいろいろ学ぶ点が多かったし,特に織田氏の論文には感銘を受けた.本号はその他の一般論文や研究報告でも加倉井周一氏の義肢装具製作者のアメリカの高度なカリキュラムの紹介や中村隆一氏の独特のアプローチなど教育的な点が多かった.
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