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第2日 第1会場午後の部
学会第2日,第1会場午後の部は,先ず一般演題51-60を座長に児玉教授をむかえての活発な質疑応答がなされた.中でもとりわけ51席の「膝関節の機能評価について」という演題は,整形外科学会でもいまだ膝関節に関してはその機能評価法も確立されていない現在,将来への布石として示唆に富む立派な御仕事と敬服した次第である.股関節でもある意味では同じことがいえようが,膝関節の機能を評価しようという場合それが膝関節のみに限定することは困難で,股関節あるいは足関節の影響をどう組み入れて考えるか,又健側あるいは他側肢の影響ないしは関与をどう評価上取り扱うかが問題で,小生も以前少しくこのような問題ととりくんだこともあったが,一応OAの膝,しかも片側のみのものに対してのいわゆるHTO(High Tibial Osteotomy)術前術後の評価として用いてはかなり客観的なデータとして価値ある方法と思えた.しかし一方RAのような一関節のみとして評価できないような症例ではまだこの方法をのみ適応するのではなく当然X増線像その他の臨床検査成績を考慮にいれたものもおりこんだ総合的な評価法が必要と思われる.ただこの力法の最大の目的は,ROMあるいは大腿四頭筋の筋力,歩行能力,ADLそして疼痛とすべてに局所(膝関節)とその結果もたらされるADL制限あるいは歩行能力といったリハビリテーション上最も大切な人間としての全体的評価の方法をとっている点があげられる.今日一方ではとかく局所にばかり目をうばわれ,高次に進歩を逐げた整形外科学的人工関節置換術などが非常に普及してぎているが,無論術前術後のかかる方法による評価なしでは手術もできまいし,手術の適否をある意味ではその方法をきめる指標となるような評価方法の確立が待たれる.いずれにしても今後もこのような立派な仕事をつづけられて,より完全なものとしていっていただきたいと願っている.
つづく52席の演題もある意味では前の膝の演題とにかよってはいるが,とかく過去の本学会の発表に多くみられた単なる経験的演題とはちがって今年の学会の特徴は非常にリハビリテーション医学領域においても立派な地道な研究演題がふえてきたということが大きな印象であるし,51-60の演題はいずれもそのようなものであったといえよう.
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