印象記
日本脳卒中研究会を聞いて
上田 敏
1
1東大病院リハビリテーション部
pp.951
発行日 1973年9月10日
Published Date 1973/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103019
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日本脳卒中研究会(代表:梅原裕弘前大学教授)が7月15日青森市市民会館で開催された.本会はこれまで東北地方を中心に進められてきた脳卒中研究懇話会の発展とのことで,弘前大学や青森県の後援を受けてひらかれたものである.
梅原教授(弘大脳卒中研究施設長)の開会挨拶のあと,午前中はシンポジウム「脳虚血診療へのアプローチ」で,脳外科6人,内科4人のシンポジストが,大根田玄寿群大教授(病理),鈴木二郎東北大教授(脳外科)の司会で議論を展開した.太田富雄氏(京大)と斎藤勇氏(東大)はともに「血管攣縮」について,脳外科の立場から,前者は動物実験による病態生理的な研究をのべ,後者は血管写を示しつつ臨床的な面について述べた.くも膜下出血の際に発作後数日たってから血管攣縮が起り,それが血栓を起すこと,それは溶血により生ずる物質の刺激による,等興味ある知見がのべられた.菊池晴彦氏(北野病院)と永井肇氏(名大)は共に「頭蓋内動脈狭窄と閉塞」について,堀重昭氏(東北大)と長島親男氏(埼玉医大)はそれぞれ「頭蓋外動脈狭窄と閉塞」について脳外科の臨床的な立場から述べた.この中では頭蓋内狭窄の際に外頸動脈からの枝(髄膜の)を中大脳動脈の枝に端側吻合をすることにより血栓後の血行を再建する手術に興味がもたれた.吉田洋二氏(群大)は病理形態学の立場から「脳虚血の成因」についてのべ,沢田徹氏(北里大)は「脳血管拡張剤の使用」について,板原克哉氏(東北大)は「脳血管写および超音波エコー拍動曲線からみた一過性脳虚血」について,菅原英保氏(黎明郷リハビリテーション病院)は「脳虚血患者における腎機能の障害」についてそれぞれ興味ある知見を報告した.
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