--------------------
編集後記
鹿
pp.302
発行日 2005年3月10日
Published Date 2005/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102776
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
昨年酔っ払って階段から落ちて死んだ中島らもの遺作「酒気帯び車椅子」(集英社)は,両下肢切断の主人公が車椅子に乗ってヤクザと戦う話.その車椅子,強化ガラス製のフロントガラス,アームには銃,背もたれにはバズーカ砲,車輪はモトクロス用のタイヤとオートバイ用のハンドル,2000ccのエンジンが付いて,全てコンピュータ制御.車椅子は,失った足の代替ではなく積極果敢に生きるための道具となった.今月の特集は「高齢切断と義肢」,この問題の難しさは,「血管性切断者の約半数近くが2年以内に死亡,……余命が少ないから義足処方に消極的となるのか,少し無理を押してでも積極的に歩行能力を高めようとするのか,相反する選択」(豊永・河津論文)をしなければならないところにあり,「機能的に青壮年者のような高いパフォーマンスが望めないとすれば,高齢者にとって良い義足とは何であろうか.この『良い義足』という構成概念を作り上げることが全ての出発点であろう」(赤居論文)と言う.らもちゃんのように,どんなときでも積極果敢にという立場に,一応私はマル.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.