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編集後記
鹿
pp.1118
発行日 2006年11月10日
Published Date 2006/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102842
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ニューヨーク大学医療センター・ラスク研究所の「脳損傷者通院プログラム」については,本誌をはじめ,日本でしばしば紹介されてきたが,それらは当事者としてではなく医師の立場からの報告だった.今回,4回にわたって日本では始めてと思われる患者側からの報告を掲載することができた(06年5,6,10,11月号).患者である夫の家族・大切な知人(significant others)としてプログラムに参加された立神先生の「寄稿・治療体験記」である.「プロの音楽家としての経験が,今回のRuskでの訓練にこれほど役立つとは思わなかった.目標への道のり,問題解決の仕方,ゴールを達成するための考え方や方法は,音楽の道とまったく同じということができる.日々,地道な基礎訓練や実践を積み重ね,よりスムーズな明日を目指すこと,これがRuskで実感した,音楽と共通の,訓練意識であった.その訓練の先には,『自分に自信をもって,表現する喜び,交流する喜び』があることも音楽と共通する.」(1109頁)というように,治療者と患者の理想的な出会いが明晰な文章で紹介されている.
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