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編集後記
鹿
pp.202
発行日 2005年2月10日
Published Date 2005/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102771
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摂食・嚥下にはリハ関連職種がこぞって関わろうとしているが,片や排便はリハ領域でもなかなか主題になりにくい.昔便所は,住まいとは別の庭の北西,どくだみや雪ノ下が回りに植えられている薄暗く冷たいところに建てられていて,子供のころ,夜一人で行くのには勇気がいった.また古くから不浄,憚り,雪隠などと言われ,下手な芸を「雪隠浄瑠璃」,下手な大工を「雪隠大工」,やけくそのことを「雪隠の火事」とか言って,いい意味では使われていない.つまり昔から排便にまつわることは,不当に差別されてきたのだ.しかし時代はあっという間に変わるもの,最近ウォッシュレットのない便所のほうがめずらしい.しかも明るくていい場所に移って(そう言えばテレビのコマーシャルで,周りが透明で外から丸見えの便所が出ていた),いまや臭くて不浄な場所はなくなってしまった.これから排便は堂々と問題にしていいのだ.というわけで今月の特集論文全体からは,「障害者の尊厳の維持,獲得のために排便問題はきわめて大事なのだ」という力強いメッセージが伝わってくる.
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