Japanese
English
症例報告
数回の外来作業療法にてポータブルスプリングバランサーの導入に成功したALSの1症例
The case study of the ALS patient who succeeded in introduction of the portable spring balancer in several times of outpatient occupational therapy.
水口 寛子
1
,
竹田 恵利子
1
,
吉田 静香
1
,
藤谷 順子
1
Hiroko Mizuguchi
1
,
Eriko Takeda
1
,
Shizuka Yoshida
1
,
Junko Fujitani
1
1国立国際医療研究センター病院リハビリテーション科
1National Center for Global Health and Medicine
キーワード:
食事動作
,
PSB
,
ALS
Keyword:
食事動作
,
PSB
,
ALS
pp.1235-1238
発行日 2012年9月10日
Published Date 2012/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102669
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はじめに
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis;ALS)は,上位および下位運動ニューロン障害を呈する神経原性の進行性疾患である.平井ら1)は本疾患のリハビリテーションの要点を,①廃用による二次的合併症の予防,②残存機能の利用,③全経過にわたる生活の質(quality of life;QOL)向上の援助,④心理的サポートとしている.ポータブルスプリングバランサー®(portable spring balancer;PSB)はスリングにより上肢の重みを免荷し,スプリングの弾力を利用してわずかな力で上肢の拳上運動を可能とする福祉機器であり,食事動作や意思伝達などに用いられている.さまざまな疾患の患者を対象とした浅井ら2)の調査によると,PSB導入の練習期間は,平均2~6か月との回答が半数を占めている.またPSB導入は,病院や施設内で行われることが一般的であり,外来リハビリテーションでの導入成功例は検索し得た限り報告されていない.今回ALSの独居男性で,数回の外来作業療法(occupational therapy;OT)にて,在宅でのPSB導入に成功した症例を経験したので以下に報告し,成功の要因と,進行性疾患患者に対する福祉機器導入のあり方について考察する.なお本症例報告は,ご本人およびご家族から了承を得ている.
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