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研究と報告
変形性膝関節症患者における7か月後の立ち上がり速度の予測因子と検査特性
Predictor variables and prognostic characteristics of chair stand speed at 7-month follow-up in patients with knee osteoarthritis.
天野 徹哉
1
,
玉利 光太郎
2
,
小幡 太志
1
,
河村 顕治
2
Tetsuya Amano
1
,
Kotaro Tamari
2
,
Futoshi Obata
1
,
Kenji Kawamura
2
1宝塚医療大学保健医療学部
2吉備国際大学大学院保健科学研究科
1Faculty of Health Care Sciences, Takarazuka University of Medical and Health Care
2Graduate School of Health Science, Kibi International University
キーワード:
膝屈曲筋力
,
膝伸展筋力
,
膝関節屈曲可動域
Keyword:
膝屈曲筋力
,
膝伸展筋力
,
膝関節屈曲可動域
pp.1127-1134
発行日 2012年8月10日
Published Date 2012/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102634
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要旨:〔目的〕本研究では内側型変形性膝関節症(内側型膝OA)患者のベースラインにおける身体機能と約7か月後の立ち上がり能力との関係を明らかにし,抽出された予測因子の検査特性を示すことを目的とした.〔方法〕上肢支持なしで椅子からの立ち上がりが可能な内側型膝OA患者47名を対象とした.研究デザインは前向きコホート研究で,説明変数として膝関節周囲筋の最大等尺性筋力・立ち上がり時の疼痛と膝関節可動域(ROM)の計測を行い,目的変数として5回立ち上がりテスト(TST-5)の計測を行った.また,基本属性と医学的属性である障害側(両側性または片側性)・非ステロイド抗炎症薬使用の有無・関節内注射の有無・関節穿刺排液の有無を交絡因子として扱った.統計学的処理は階層的重回帰分析による多変量解析を行った.さらにROC曲線分析により,抽出された予測因子のカットオフ値を決定し,検査特性を算出した.〔結果〕約7か月後のTST-5には,膝伸展筋力・膝屈曲筋力と膝屈曲ROMが関係していた(p<0.05).このうち陽性尤度比(LR+)が最も大きく,陰性尤度比(LR-)が最も小さい因子は,膝屈曲筋力であった(LR+:4.83,LR-:0.27).〔結語〕内側型膝OA患者の約7か月後のTST-5には,基本属性や薬物療法などの医学的処置の影響とは独立して,膝伸展筋力・膝屈曲筋力と膝屈曲ROMが関係することが明らかになった.また,最大等尺性膝屈曲筋力検査は,保存的治療を受けている膝OA患者の立ち上がり困難度を予測するうえで,一定の識別能力を有する指標であることが示唆された.
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