Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「愛を乞う人」―虐待の向こうにあるものは探り当てられなかったが
二通 諭
1
1千歳市立北進中学校
pp.183
発行日 1999年2月10日
Published Date 1999/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108909
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本誌が店頭に並ぶ頃,98年度邦画ベストテンが発表されているはず.そしてベストワンに輝いているのは「愛を乞う人」(監督/平山秀幸)というのは全く勝手な予想なのだが,いまどきこれほどの風格を持った作品はあろうはずもなく,ズバリ当たりだろう.
ただし興行成績はすこぶる悪い.なにしろ児童虐待に材をとっているのだから.通常の娯楽にも悪趣味系の娯楽にも乗らない,いわば客層というものを設定できないジャンルなのだ.まして数年前に読んだ原作の印象は,ただただ怖く,私をして見なくてすむなら見ないでおこうと思わせたのはウソではなく,ようやく重い腰を上げて劇場に足を運んだのは楽日の少し前.
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