Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「ヒミズ」―「虐待・愛着不全」の対立概念としての「普通」をめざす
二通 諭
1
1札幌学院大学人文学部人間科学科
pp.929
発行日 2012年6月10日
Published Date 2012/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102570
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園子温(その・しおん)監督は,目下,日本映画界において独走状態である.自身の受賞に加え,出演俳優も続々受賞し,園作品に出るだけで箔がつく,という勢いだ.
盗撮のプロが妹を新興宗教から脱会させたという実話を創作源にした「愛のむきだし」(2008年)以降,1993年に起きた埼玉愛犬家連続殺人事件に触発された「冷たい熱帯魚」(2011年),1998年に起きた東電OL殺人事件をモチーフにした「恋の罪」(2011年)と,園は猛烈なスピードで時代を追い上げてきた.そして,東日本大震災を背景とする「ヒミズ」(2012年)で,時代に追いついた.今のところ園作品群に対抗できるのは「私たちの時代」(ディレクター/今村亮)1本のみであるが,これについては次号で詳らかにする.
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