Japanese
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増大特集 リハビリテーションQ&A
Ⅲ 脊髄損傷,その他の脊髄疾患
19.脊髄損傷患者のリハビリテーション
Rehabilitation of spinal cord injury.
和田 太
1
Futoshi Wada
1
1産業医科大学リハビリテーション医学講座
1Department of Rehabilitation Medicine, University of Occupational and Environmental Health, Japan
キーワード:
脊髄損傷
,
リハビリテーション処方
Keyword:
脊髄損傷
,
リハビリテーション処方
pp.538-541
発行日 2012年5月10日
Published Date 2012/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102489
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Q1 急性期のリハビリテーション処方のポイントは?
外傷性脊髄損傷の急性期には,損傷脊髄の二次的な損傷を防ぐ必要がある.受傷部位の脊椎の不安定や低血圧,徐脈,貧血,低酸素などによる損傷脊髄の酸素不足が原因となり,脊髄の二次的な損傷が引き起こされやすい.受傷部位の脊椎の安定には外固定や内固定が行われる.特に内固定における脊椎インストゥルメンテーション,早期離床に大きく貢献している.受傷部位の脊椎の安定化と全身状態の安定化が確保されれば,早急にリハビリテーションの介入をベッドサイドより始め,続発する合併症を予防する1).
損傷の部位やその程度により,さまざまな病態を示すので,リハビリテーションの介入を開始するにあたっては,診察,評価により適切に把握し,状態に合わせたリハビリテーションの内容に決めていく.自動車事故や転落に起因する場合には,多発外傷を伴いやすく,四肢の骨折や内臓の損傷がないかを十分に検索する必要がある.また,脊髄には,運動,感覚の神経のみならず,自律神経(交感神経)を含むため,その損傷に伴い,自律神経に関連した機能の低下を生じ,排尿(尿閉),排便(イレウス),循環(低血圧,徐脈,起立性低血圧,自律神経過反射,皮膚血流障害),発汗(体温調節),呼吸(肺炎,無気肺)など異常を生じることを理解することが重要である.特に第5胸髄以上の損傷では交感神経障害されるため,その症状が出やすくなる.
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