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はじめに
2004年1月に厚生労働省老人保健局によって高齢者リハビリテーション研究会の報告書「高齢者リハビリテーションの現状」がまとめられ,その骨子が2006年度診療報酬改定の審議に大きな影響を及ぼした.それによると,以下の5項目がリハビリテーションにおける診療報酬,介護報酬上の課題として示された.
①急性期のリハビリテーション医療が十分に行われていない.
②長期にわたって効果が明らかでないリハビリテーション医療が行われている場合がある.
③医療から介護への連続するシステムが機能していない.
④リハビリテーションとケアとが混同して提供されているものがある.
⑤在宅におけるリハビリテーションが不十分である.
これらを基にして2006年度の診療報酬改定がなされ,その改定内容には,以下の点が示された.
①現行の体系を改め,新たに脳血管疾患等リハビリテーション,運動器リハビリテーション,呼吸器リハビリテーションおよび大血管疾患リハビリテーションの4つの疾患別体系とする.
②長期にわたり効果が明らかでないリハビリテーションが行われているとの指摘を踏まえ,疾患ごとに算定日数上限を設定する.
③集団療法の廃止,機能訓練室の面積要件の緩和,発症後早期の患者1人1日あたりの算定単位数上限の緩和などを行う.
④回復期リハビリテーション病棟入院料について,算定対象となる状態を拡大するとともに,当該状態ごと算定上限を設定することで入院期間を短縮する.
当時,社会的に一番問題となったことは,②の疾患ごとに「算定日数上限」を設定する項目で,医療保険における維持期リハビリテーションの切捨てと揶揄され,全国のリハビリテーション関係者はその対応に当たったことは記憶に深く残っていると思う.
本稿では,脳血管疾患等リハビリテーションに分類されるリハビリテーション医療がどのように変化したのかを検証し,前述した高齢者リハビリテーション研究会の答申がどれだけ達成されたかを考察したい.
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