統合失調症患者のセルフスティグマに関する研究―セルフエフィカシー，QOL，差別体験との関連について

Study on the self-stigma of patients with schizophrenia: associations between self-stigma, self-efficacy, QOL, and experience of discrimination.

要旨：〔目的〕統合失調症患者のセルフスティグマとセルフエフィカシー，QOLとの関連を明らかにすることを目的に，セルフスティグマ，セルフエフィカシー，QOLおよび被差別体験において各々の関連性について検討を行った．〔対象・方法〕精神科病院に入院する統合失調症患者37名を対象に，Linkスティグマ尺度，一般性セルフエフィカシー尺度，統合失調症患者のためのQOL尺度，差別体験尺度による評価を行い，それぞれの尺度間の関連を評価した．〔結果〕セルフエフィカシーはQOLおよびセルフスティグマと有意な関連を示した．また，差別体験における「肩身の狭い思い」は「社会の偏見」と「生活への影響」に，「社会の偏見」はセルフスティグマに，「生活への影響」はセルフエフィカシーとQOLに関連していた．〔結語〕本結果より，セルフスティグマの高まりがセルフエフィカシーやQOLを低下させると考えられた．また，「肩身の狭い思い」は「社会の偏見」の認知につながり，その結果，セルフスティグマ上昇につながること，「肩身の狭い思い」が生活に悪影響を及ぼし，セルフエフィカシーとQOL低下を引き起こすことが示唆された．