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特集 死別にまつわる心理的苦痛—背景理論からケアおよびマネジメントまで
統合失調症患者は,死別をどのように体験するか?
How Do Patients with Schizophrenia Experience Bereavement?
岡島 美朗
1
Yoshiro Okajima
1
1自治医科大学附属さいたま医療センターメンタルヘルス科
1Department of Mental Health, Jichi Medical University Saitama Medical Center, Saitama, Japan
キーワード:
死別
,
bereavement
,
統合失調症
,
schizophrenia
,
対象喪失
,
object loss
Keyword:
死別
,
bereavement
,
統合失調症
,
schizophrenia
,
対象喪失
,
object loss
pp.1631-1636
発行日 2022年12月15日
Published Date 2022/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206803
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抄録 すでに発症している統合失調症患者の死別に関する精神医学的・心理学的知見は少ない。そこで,死別を対象喪失と捉える一般理論をもとに,統合失調症患者の死別体験について症例を提示して検討した。まず,統合失調症患者は発症以来さまざまな喪失にさらされており,そのうえで死別という喪失を経験していることを考慮する必要がある。死別に際して,統合失調症患者が激しい感情的反応を示すことは少なく,むしろより的確に状況を認識し,現実的にふるまうことがある。その一方で,喪失に関連して幻聴などの精神病症状が生じることがあるが,主体が喪失という事態を自らの世界に組み込む営みと理解できる場合がある。また,高齢化が進む中,高齢の家族に庇護されていた患者が,家族との死別によって生活が破綻する場合があり,その対策も今後の重要な課題である。
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