学会報告
第30回中国四国リハビリテーション医学研究会―2010年6月27日(日),於:米子コンベンションセンター
萩野 浩
1,2
1鳥取大学医学部保健学科
2鳥取大学医学部附属病院リハビリテーション部
pp.605-612
発行日 2011年6月10日
Published Date 2011/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102114
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1.失聴期間が長期であった人工内耳装用者のリハビリテーション
鳥取大学医学部附属病院リハビリテーション部
玉川 友哉
補聴器装用をほとんどしていなかった長期間の重度難聴者1症例(失聴期間:3~58歳)に人工内耳手術をし,リハビリテーションを実施した.術後4年にわたるリハビリテーション,社会参加への経過を報告した.初期段階では音環境・マッピングの問題があったが,徐々に改善し,自主訓練をすることで,静寂下で日常会話がある程度可能となった.しかし,長期にわたる発声困難,コミュニケーション困難があったため,リハビリテーション以外で他者と会話することが困難で,継続した社会参加が問題となった.発声発語訓練と自発的な活動を促すことで,新しい人間関係を築き,社会参加が可能となった.幼少期からの長期間の失聴であっても,一定の効果が得られ,聴覚活用を維持するために自主訓練が必要であった.その後,「理解してくれる人と近くでわかりやすいことばであれば,わかった」という発言がみられ,他人とコミュニケーションをもとうとする意欲がでてきて,社会参加が増えてきた.
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