歯の細胞生物学
HLAハプロタイプホモ歯髄細胞の収集と再生医療への応用
手塚 建一
1
1岐阜大学 大学院医学系研究科組織・器官形成
キーワード:
移植免疫
,
幹細胞
,
HLA抗原
,
歯牙喪失
,
智歯
,
抜歯
,
ハプロタイプ
,
年齢因子
,
再生医学
,
細胞増殖
,
胚性幹細胞
,
iPS細胞
,
歯髄細胞
Keyword:
Age Factors
,
Haplotypes
,
HLA Antigens
,
Molar, Third
,
Tooth Extraction
,
Stem Cells
,
Transplantation Immunology
,
Tooth Loss
,
Regenerative Medicine
,
Induced Pluripotent Stem Cells
,
Cell Proliferation
,
Embryonic Stem Cells
pp.59-67
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.19020/J02201.2016149819
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われわれは,医療廃棄物として大量に入手できる親知らずから細胞を取り出し,約100ラインからなる研究用ヒト歯髄細胞コレクションを構築した.その白血球型(human leukocyte antigen;HLA)を解析したところ,HLAハプロタイプホモという他家移植に有利な細胞を得ることができた.HLAは,他人の臓器や細胞を拒絶する反応に深く関わっている.多型に富み,他人同士でHLA型が完全に一致することはまれで,HLA型の「違い」が免疫系による拒絶反応やGVHDを惹起する.HLAハプロタイプホモのHLA型は,父母から同じハプロタイプのHLA遺伝子を受け継いだときに生じ,提示されるHLA分子の種類が半分になる.それゆえ,HLAをドナーからレシピエント方向に一致させやすい.とくに日本人は他の人種に比べてHLAハプロタイプに偏りがあり,HLAハプロタイプホモドナーを見つけやすく,かつ,同じHLAハプロタイプホモ細胞で多くの患者をカバーできる特徴がある.そして,あらかじめ大量の細胞を用意しておくことで,脊髄損傷など緊急性を要する疾患にも,安全に他家移植による再生医療が行えるようになる.
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