Japanese
English
講座 再生医学とリハビリテーション 3
再生医学とリハビリテーション
Regenerative medicine and rehabilitation.
植村 修
1
,
向野 雅彦
2
,
里宇 明元
2
Osamu Uemura
1
,
Masahiko Mukaino
2
,
Meigen Liu
2
1独立行政法人国立病院機構東埼玉病院リハビリテーション科
2慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
1Division of Rehabilitation Medicine, National Hospital Organization Higashi Saitama Hospital
2Department of Rehabilitation Medicine, Keio University School of Medicine
キーワード:
再生医学
,
TMS
,
CI療法
,
ペダリング
,
TES
Keyword:
再生医学
,
TMS
,
CI療法
,
ペダリング
,
TES
pp.1125-1131
発行日 2005年12月10日
Published Date 2005/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100228
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再生医療とリハビリテーションの関わり
近年脚光を浴びている医療分野の一つに再生医療があげられる.再生医療は,主に外的に組織を補充することにより,障害を受けた組織の再生を促し,機能の再建を図ることを狙いとしている.その根幹となっているのは,自らを未分化の状態に保ちながら複製するという自己複製能と,さまざまな細胞に分化することができるという多分化能を持つ幹細胞であり,とくに神経系細胞に特異的に分化する能力をもつ幹細胞を神経幹細胞と称する(図1).脊髄損傷のモデル動物の脊髄に神経幹細胞を移植しても,そのほとんどがグリアに分化するだけで,神経細胞に分化するものはほんの数%にすぎず,さらにそのグリアから分泌される神経栄養因子が神経細胞同士の異常なシナプス結合を促通し,その結果allodyniaと呼ばれる異常感覚を誘発するなど,まだまだ解決されねばならない問題が山積している1).しかしながら,この神経幹細胞移植を中心とした再生医療が,可及的早期に,脳卒中や脊髄損傷などといった中枢神経系の障害に応用されることが強く期待されているのは言うまでもない.
神経幹細胞をはじめとした,幹細胞を用いた再生医療の基本的な考え方は,目的とする臓器の初期発生過程を人為的に再現することにある.そのためには,まず,それらの臓器の発生・分化過程をある程度明らかにする必要がある.中枢神経において,脊髄運動神経細胞は,どのようにして生まれ,どのような機構で軸索を正確に標的に投射するのかといった,発生・分化過程が最も詳細に解析されている組織の一つである.
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