連載 高次脳機能障害の評価法
記憶障害
中島 恵子
1
1帝京平成大学健康メディカル学部臨床心理学科
キーワード:
病態認識
,
記銘力
,
想起力
Keyword:
病態認識
,
記銘力
,
想起力
pp.692-695
発行日 2010年7月10日
Published Date 2010/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101816
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人は加齢とともに自分の記憶力を自覚するようになる.しかし,日常的に自分の記憶力を意識する人は少ないのではないだろうか.それは,間違って覚えたことに気がついた時,あるいは,人から指摘された時には自分で修正できるし,覚えなくてはいけないことは何度も自分に言い聞かせたり,メモするからである.“記憶”とは,過去にあったことを覚えていることであり,これからのことを覚えようとすることである.病気や事故などで高次脳機能障害となった人には,病気や事故前のことは覚えているが,今言われたことが記憶に残らない,昨日の出来事が思い出せない,顔はわかるが名前が思い出せない,などの問題がみられる.これは,記憶を構成する要素が脳のなかでそれぞれ別々に働くからである.記憶障害とは,病気や事故後の自分史が積み重ならない障害であり,その状態を自分で認識しにくい障害である1).
本稿では,記憶障害の代表的な検査や行動観察などの評価法について述べる.
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