書評
Elly Hengeveld・他(著),赤坂清和・他(監訳)「メイトランド四肢関節マニピュレーション」
陶山 哲夫
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1国際医療福祉大学大学院リハビリテーション学分野
pp.536
発行日 2010年6月10日
Published Date 2010/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101786
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本書の原著の初版は,今から40年もの昔,1970年に出版された.それから今日まで改訂されながら版を重ね,原著第4版を翻訳した日本語版が発行された.現在,四肢関節のマニピュレーションを扱った書籍は多数あるが,従来の書籍は医師が医師向けに執筆したものが多かった.しかし本書は,理学療法士が理学療法士のために執筆した系統的・包括的なテキストである.
本書は,四肢関節に対する手技の紹介と,他動運動による検査を詳細に論ずることを目的としている.第1版の著者であるMaitlandは,安定性と柔軟性という相反する性質の両方に重点を置いた.彼はそのコンセプトから,各手技を用いる際の力,幅,様式などを評価・決定する際の論理的な思考過程を紹介している.また,患者とコミュニケーションを取りつつマニピュレーションを実施するというユニークな方法が紹介されており,まさに臨床と教育の両方において有益な教科書である.
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