書評
―赤坂清和・藤縄 理 監訳―「理学療法のクリティカルパス:上巻」
柳澤 健
1
1首都大学東京 健康福祉学部
pp.516
発行日 2005年6月15日
Published Date 2005/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102509
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近年,理学療法のクリティカルパスの重要性が論じられている中で,本書の発刊は実にタイムリーである.本書は,上肢・脊椎の症例を通して学ぶグローバルスタンダードな翻訳書である.翻訳は原文を日本語に変換するとき,日本語の特性を十分に理解していないとできない作業である.英語のシンタックス(構文・統辞)をそのまま日本語のシンタックスの中へ押し込んでしまうと,意味不明な翻訳になってしまう.日本語の大黒柱はあくまで「述語」であって「主語」ではないことなどを十分に認識していないと訳のわからぬ“翻訳”になってしまう.その点,本書は日本語の特性を十分にふまえたわかりやすい日本語に翻訳されている.
Ⅰ.手と手関節,Ⅱ.肘と前腕,Ⅲ.肩,Ⅳ.腕神経叢・胸郭出口・肩甲帯,Ⅴ.神経と筋の損傷,Ⅵ.骨盤,Ⅶ.脊椎の7章・35症例で本書は構成され,8名の理学療法士と作業療法士1名による翻訳を赤坂清和・藤縄 理の両氏が違和感のないわかりやすい監訳に仕上げている.イラストは,運動病理学の基本理念とその改善を目指した評価や治療を視覚化するのに多用され,魅力的な図で理解しやすい体裁を整えている.
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