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リハビリテーション医療は広い範囲の疾患分野を担当し,小児から高齢者まで担当する患者の年齢層も広い.そのなかでリハビリテーション医は患者にリハビリテーションを提供するに当たって,リスク管理や予後予測に基づいた適切なリハビリテーションプログラムを策定する必要がある.また,リハビリテーション医はコメディカルを指導する立場にもある.EBMが求められる現代の医療において,これらの業務遂行に必要とされる知識量は膨大である.さらに疾患分野ごとに日々新しい知見が蓄積されており,そのアップデートも要求される.しかし,リハビリテーション医の数は充足しているとは言えず,書類作成業務などの事務作業を含め,日々の業務に追われているため,知識の蓄積とアップデートを効率よく行う必要がある.また,リハビリテーション医には他科から転科した医師も多く,不得意分野をもっている場合も少なくはないが,それでも,リハビリテーション医療の質を保つために一定の知識は要求される.
近年,リハビリテーション現場を支える療法士の供給は療法士養成校の増加により,急速に充足してきているようである.一方で,療法士は若年化傾向にある.本来,若手療法士の医学的知識の教育はリハビリテーション医が臨床の現場で行う必要がある.しかし,現在の専門医数および毎年の専門医認定数を考慮すると,すべての施設にリハビリテーション医が配置される日は遠い将来であろう.また,療法士の職場として少人数で構成されるところが多くなっていることも,さらにそれを困難としている.今後,卒業後に十分な教育の機会をもてない療法士も増加していくことが予想されるため,若手療法士の自己学習のための適切な資料提供も必要である.
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