特集 長寿社会と公衆衛生
長寿科学の新しいシステム化と発展への期待
祖父江 逸郎
1,2,3
Itsuro SOBUE
1,2,3
1名古屋大学
2国立療養所中部病院
3愛知県衛生部
pp.798-801
発行日 1988年12月15日
Published Date 1988/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207823
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■高齢化の現状と超高齢化への進展
40年前の1947年には,わが国の平均寿命は男50.06歳,女53.96歳で,人生50年時代であったのに,40年後の1987年には男75.61歳,女81.39歳となり,人生80年時代に転換した.平均寿命を欧米と比較しても,男ではアイスランド75.04歳,スウェーデン73.97歳,オランダ73.51歳,女では,アイスランド80.3歳,オランダ80.07歳,スイス80.01歳で,わが国では,これらのいずれよりも高い.わが国は,今や名実共にトップレベルの長命国となった.
人生80年時代にふさわしく,最近では,傘寿を迎えた元気な高齢者に出会う機会もふえてきた.筆者の約半世紀にわたる医療経験からしても,これまでみられなかったことであるが,最近では,80歳以上の外来患者がかなりみられるようになり,90歳を越えた外来患者も時に経験するところであり,100歳老人の入院も現実のものとなってきた.このような患者の高齢化現象からみても,確かに人生80年時代が現実のものとなってきたことを痛感する.
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