Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「おとうと」―コミュニケーション不全という現代社会の困難と希望の所在を照射
二通 諭
1
1札幌学院大学人文学部人間科学科
pp.497
発行日 2010年5月10日
Published Date 2010/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101777
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民主党の総選挙マニフェストに,教員養成6年制(修士)が明記されていたこともあり,今後,教員養成の在り方について白熱した議論が交わされることになる.6年制にする目的は教員の資質向上にある.では,これからの教員につけさせたい資質とは何か.筆者が見聞した議論によれば,それは,コミュニケーション能力である.つまり,若い教員に欠けているものはコミュニケーション能力であり,これを向上させることが緊急の課題だというのだ.教員採用試験でも,「保護者のクレームにどう対応するか」といった出題は定番であり,授業が上手にできればよい,という話ではなくなってきているのだ.
山田洋次の新作「おとうと」は,こうした時代の困難を掬いあげたという点で出色.現代の病というべきコミュニケーション不全状況と,それに対抗する営みを提示する.
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