Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「帆花」・「9年後の西村家」—超重症児者の困難と可能性から現代社会の課題を照射する
二通 諭
1
1札幌学院大学
pp.1181
発行日 2025年11月10日
Published Date 2025/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530111181
- 有料閲覧
- 文献概要
「帆花」(監督/國友勇吾,2021年)は,筆者が本欄(第50巻第8号)にて「重症児のいのちと発達をみんなで守ることの歴史的社会的な根拠を問う」と題して紹介している.当時はオンライン試写による視聴であり,不注意の誹りは免れないが,母親・西村理佐さんの言葉の採録にミスがあった.それに気づいたのは,筆者らが2025年9月に本作の北海道初の上映会を実現したことによる.ミスのことは措く.本上映会では,72分の本編のほかに,2023年5月に撮影された16分の短編「9年後の西村家」にも正対できた.
本作は,生後すぐに「脳死に近い状態」と宣告された超重症児の娘・帆花(ほのか)さんと母・西村理佐さん,父・西村秀勝さんの日常に密着したドキュメンタリーである.本編は表情,声,右手の動きが出るようになった帆花さんの特別支援学校小学部入学までの道程を描き,短編では高等部入学という段階における理佐さんの「所感」とでもいうべき“語り”に尺を割く.以下は,この“語り”から拾った筆者なりの注目点と補足である.
Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.

