連載 おとなが読む絵本――ケアする人,ケアされる人のために・12
つながっているいのち―『きこえてくるよ…いのちのおと…』『うみをわたったこぶた』
柳田 邦男
1
1作家
pp.486-487
発行日 2006年6月10日
Published Date 2006/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100093
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《われわれはどこから来たのか,われわれは何者か,われわれはどこに行くのか》
19世紀末,フランスから南太平洋のタヒチに渡った画家ゴーギャンが晩年の大作につけた題だ。横長の大きなパノラマのような広がりのある南国の風景の中に,人間の出生から老いと死に至るライフサイクルを示す人物や仏像が描かれている。楽園を夢みてタヒチに棲みついたものの,現実は甘くなく,自殺をはかろうとまでする。その直前に描いたのが,《われわれはどこから……》だという。まさに死後の世界を問うスピリチュアルな命題を突きつけている。
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