連載 下実上虚・3
「精神病院に勤めています」って、なかなか言えない……
西川 勝
1,2
1井伊掃部町デイサービスセンター
2京都市長寿すこやかセンター
pp.102-103
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100276
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- 文献概要
「精神病院に勤めています」って、なかなか言えない自分がいる。精神科看護が好きで、それなりに誇りをもって仕事しているつもりなのに……。
それって、ぼくも経験がある。「精神病院に勤めています」って言ったとたん、相手が妙に困ったり驚いたりする、その"間”がたまらないんだよな。だけどことばが届かない気がして、つい黙ってしまうんだ。
仕事を離れた場面で、初対面の人に自分が精神病院に勤務していることを伝えるのはけっこう面倒だ。精神病院への勝手なイメージを相手から押しつけられてしまうか、訳のわからない遠慮で不自然に会話を別の方向へもっていかれてしまったりするから。短いことばのやりとりでは、こっちの気分を害して終わることが多いから、つい黙ってしまうんだ。黙ってしまうのも嫌な感じが残るけど、ややこしくないだけましかな。でも、やっぱり考えてしまうよね───どうしてこうなるんだ!って。
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