Japanese
English
実践講座 痙縮のブロック療法・3
ボツリヌス毒素
The use of botulinum neurotoxin for treatment.
向井 洋平
1
,
梶 龍兒
1
Youhei Mukai
1
,
Ryuji Kaji
1
1徳島大学医学部神経内科
1Department of Neurology, The University of Tokushima
キーワード:
ボツリヌス毒素
,
痙縮
,
ブロック療法
Keyword:
ボツリヌス毒素
,
痙縮
,
ブロック療法
pp.1035-1040
発行日 2009年11月10日
Published Date 2009/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101634
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はじめに
ボツリヌス毒素はボツリヌス菌により産生される毒素で,抗原性によりA型からG型の7種類に分類される.自然界に存在する毒素のうち,A型,B型,E型,F型がヒトのボツリヌス中毒の原因となることが知られている.
1970年代にScottが斜視の治療にボツリヌス毒素を用いて以降,急速にその適応疾患は増え,世界中で使用されるようになってきた.
2009年7月現在,本邦で保険適応をうけて使用可能なボツリヌス毒素製剤はボトックス®のみであり,その適応症も痙性斜頸,眼瞼痙攣,片側顔面痙攣,2歳以上の小児脳性麻痺患者の下肢痙縮の4疾患に限られている.
ボツリヌス毒素製剤による痙縮の治療は,海外では既に医師の裁量で下肢に限らず使用されている.また,脳性麻痺に起因する痙縮以外,すなわち,脳血管障害や中枢神経系の外傷などによる痙縮に対して使用されている国もある.本邦でも近々に脳血管障害後の下肢痙縮も適応疾患として認められる予定であり,適応疾患は増えていくと思われる.
本稿では,海外の報告を参考にしつつ,ボツリヌス毒素製剤による痙縮の治療について述べる.
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