Japanese
English
今月の主題 排尿障害
話題
最新の治療法―ボツリヌス毒素注入療法,磁気刺激治療について
New treatment for lower urinary tract symptom―Botulinum toxin injection and magnetic stimulation
横山 光彦
1
,
永井 敦
1
Teruhiko YOKOYAMA
1
,
Atsushi NAGAI
1
1川崎医科大学泌尿器科
キーワード:
過活動膀胱(OAB)
,
ボツリヌス毒素
,
磁気刺激治療
Keyword:
過活動膀胱(OAB)
,
ボツリヌス毒素
,
磁気刺激治療
pp.823-827
発行日 2010年7月15日
Published Date 2010/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102347
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1 . はじめに
本号のテーマである排尿障害は,過活動膀胱(overactive bladder;OAB)を中心とした蓄尿障害と前立腺肥大症を中心とした尿排出障害を含めた用語である.
泌尿器科領域におけるボツリヌス毒素(note参照)を用いた治療,特に難治性蓄尿障害に対する臨床応用は,1999年に脊髄損傷に伴う尿失禁患者の膀胱壁内に内視鏡を用い30~40か所にA型ボツリヌス毒素を注入し,その有効性が報告されたのが始まりである1).現在では,欧米を中心に難治性OABに対する膀胱壁内注入療法の報告は多数認められるようになった.
さらに最近では,前立腺肥大症に対するA型ボツリヌス毒素前立腺注入療法や間質性膀胱炎に対する膀胱粘膜下注入療法の有用性も報告されるようになり,多くの排尿障害疾患に対する新しい治療として脚光を浴びている.また,欧米では難治性OABに対して仙骨神経電気刺激(sacral neuromodulation)が普及しており,世界で3万人以上がこの治療を受けている.薬剤抵抗性の難治性OABに対する次の治療として,どちらを選択するか議論の分かれるところである.
本稿では,排尿障害に対するボツリヌス毒素を用いた治療と非侵襲的なneuromodulationの1つである磁気刺激治療を中心に述べる.
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