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障害概念
現在,国際的に用いられている脊髄損傷の機能評価法であるAmerican Spinal Injury Association(ASIA)のInternational Standards for Neurological Classification of Spinal Cord Injuryには,10のkey muscles,完全麻痺の定義,デルマトームを示した記録票とともに不全脊髄損傷として5種類の症候群が紹介されている1,2).すなわち,中心性脊髄症候群(central cord syndrome),ブラウンセカール症候群(Brown-Sequard syndrome),前方脊髄症候群(anterior cord syndrome),脊髄円錐症候群(conus medullaris syndrome),馬尾症候群(cauda equina syndrome)である.このなかで,中心性脊髄症候群は,ほぼ頸髄損傷に限られ,仙髄節の感覚が温存され,下肢の運動麻痺に比べ,上肢の運動麻痺が重度である病態と定義されており,頸椎症を有する高齢者に多いという年齢的特徴がある3).
また,時岡4)によれば,Schneiderら5)が最初に報告した,頸椎の過伸展損傷により生じ,明らかな骨傷を伴わずに起こりうるもので,下肢よりも上肢に強い運動障害があり,膀胱直腸障害,損傷高位以下のさまざまな感覚障害を特徴とする頸髄損傷はacute traumatic central cord syndrome(ATCCS)と呼ばれるのが一般的である.本稿では,非外傷性の中心性脊髄症候群も含めて,高齢者の不全頸髄損傷を中心に述べることとする.
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