Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
脳卒中患者としてのレーニン―脳卒中前うつ病(pre stroke depression)の可能性
高橋 正雄
1
1筑波大学障害科学系
pp.174
発行日 2009年2月10日
Published Date 2009/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101451
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一人の人間の病が,その人間の運命のみならず,人類の歴史を変えることがある.さしずめレーニンの脳卒中はその典型であろう.
レーニンは1922年5月,52歳の時に脳卒中で倒れ,以後何度か発作を繰り返して1924年1月に亡くなっているが,この早すぎるレーニンの死がなければその後のスターリンの独裁や大粛清もなく,ソビエト・ロシアの運命はもう少し変わったものになっていたかもしれないのである.レーニン最晩年の病が脳卒中であることは今日公にされている記録を見る限り疑いないが,レーニンの盟友だったトロツキーの自伝『わが生涯』(志田昇訳,岩波書店)には,いささか気になる記述がある.それは,いつも快活だったレーニンが脳卒中発作を起こす前には疲れた様子をみせ,心身の不調を訴えていたということである.
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