Japanese
English
特集 誤嚥性肺炎と不顕性誤嚥
リハビリテーション上の課題
Silent aspiration:challenge from rehabilitation field.
藤谷 順子
1
Junko Fujitani
1
1国立国際医療センターリハビリテーション科
1Department of Rehabilitation, International Medical Center of Japan
キーワード:
不顕性誤嚥
,
誤嚥性肺炎
,
嚥下リハビリテーション
Keyword:
不顕性誤嚥
,
誤嚥性肺炎
,
嚥下リハビリテーション
pp.99-103
発行日 2009年2月10日
Published Date 2009/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101437
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
誤嚥の分類―2つの不顕性誤嚥
今日,「不顕性誤嚥」の定義には,使用者によって若干の差異がある.嚥下造影や嚥下内視鏡で,誤嚥(aspiration)が観察されるのに,むせが生じない場合,これを不顕性誤嚥というのが,リハビリテーション関係者にとって古典的な考え方である.Ramsayら1)の嚥下造影による評価において,急性期脳卒中での誤嚥率は21~42%,不顕性誤嚥は2~25%,誤嚥に占める不顕性誤嚥の割合は7~67%であり,慢性期では36~73%であったという.
これに対し,食物(検査食)の嚥下に伴わない誤嚥(主に夜間の唾液誤嚥)を,不顕性誤嚥と呼ぶ場合も多い.1937年,昏睡状態の症例の口腔鼻腔に塗った放射性同位元素が翌日気管支に入っていた,という報告2)が最初に行われた.その後,シンチグラムを用いた検査において,誤嚥は市中肺炎の71%,健常高齢者の10~100%にみられると報告されている1).わが国では,高齢者の肺炎を扱う老年病科を中心に,「不顕性誤嚥=夜間の唾液誤嚥」の考え方が普及している.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.