目でみる耳鼻咽喉科
仮声帯肥大の病因
本庄 巌
1
,
田中 信三
2
,
田辺 正博
2
1京都大学医学部耳鼻咽喉科
2高知医科大学耳鼻咽喉科
pp.620-621
発行日 1984年9月20日
Published Date 1984/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492209821
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嗄声や咽喉頭異常感を訴える患者のなかに,仮声帯肥大例を時に経験する。患者は癌年齢の男性であることが多く,腫瘍を疑い試切を行うが悪性所見は得られないことが多い。このような症例の多くが,甲状軟骨の変形による受動的な仮声帯膨隆であることが明らかとなった。
最近経験した仮声帯肥大例は,表のごとくいずれも癌年齢の男性で,喉頭外傷などの既往はなかった。喉頭所見は全例左側の仮声帯前部の膨隆であり,うち3例に試切をわったが悪性所見は得られなかった。触診で甲状軟骨の非対称と患側甲状軟骨板の陥凹とを認め,喉頭のCTスキャンで,患側甲状軟骨板の陥凹と喉頭の右回転とを認めた。
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