Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
バーマンの『シュヴァイツァーとの対話』―病みながら生きる医師
高橋 正雄
1
1筑波大学障害科学系
pp.604
発行日 2008年6月10日
Published Date 2008/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101274
- 有料閲覧
- 文献概要
ボルチモアの外科医エドガー・バーマンは1960年の秋,シュヴァイツァーからの要請を受けてランバレネに赴いた医師で,1989年に『シュヴァイツァーとの対話』(永井健三訳,JICCS出版局)という本を発表しているが,そこにはシュヴァイツァーが精神医学的な問題や精神障害者にも深い関心を寄せていたことを示すエピソードが記されている.
ある日,バーマンを呼びとめたシュヴァイツァーは,「あまり光も射さず,水もトイレもない,錠のかかった息の詰まる独房に押し込められている凶暴な患者たち」に対する忸怩たる思いを告白しはじめた.「わたしは常々,動物を檻に入れるのは犯罪だと思ってきた.それならなぜ人間を閉じ込めるのか?しかし,ほかの人間から隔離しておかなければならない凶暴な患者は,ほかにどうしようがあるだろうか?」
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.