巻頭言
リハビリテーションと基本的人権
寺島 彰
1
1浦和大学総合福祉学部
pp.221
発行日 2008年3月10日
Published Date 2008/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101196
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リハビリテーションの概念は,20世紀の初頭にアメリカで生まれ,医学的リハビリテーションと職業リハビリテーションから,社会リハビリテーション,リハビリテーション工学といった分野に広がってきた.これらの多職種にわたるリハビリテーション専門家の世界的連携におおきな役割を果たしてきたリハビリテーション・インターナショナル(Rehabilitation International;RI)が,組織の名称で混迷している.アメリカ・カナダを中心にリハビリテーションという用語に対する反感が強いために,組織の名称をRights and InclusionやRights and Internationalに変更しようとする北米の国々のグループと,それに反対するヨーロッパ,アジアの国々が対立している.日本も反対である.RI本部はアメリカにあり,会長も名称を変更したいという意向を示しており,これまでも,できるだけリハビリテーションという用語を使用しないような方向性を示していた.このままでは,本年8月23~28日に,カナダで開催されるRI総会において,組織の名称からリハビリテーションという用語が消えてしまう可能性も高い.
今日,リハビリテーションの定義として広く通用しているのは,1982年に国連総会で採択された「障害者に関する世界行動計画」における定義であり,そこでは,リハビリテーションを「身体的,精神的,かつまた社会的に最も適した機能水準の達成を可能とすることによって,各個人が自らの人生を変革していくための手段を提供していくことをめざし,かつ,時間を限定したプロセスである.」と定義している.
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