連載 保健所長のひとりごと
基本的人権を大切に
関 龍太郎
1
1島根県益田保健所
pp.410-411
発行日 1991年5月10日
Published Date 1991/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900240
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看病の母急死。病気の娘衰弱死
26日午前10時ごろ,松山東署に「松山市緑町1—5-4,無職木下冨子さん(80)の姿が正月明けから見えず,冨子さんが看病している2女の澄子さん(56)が気掛かりだ」と近所の人が届けた。同署員が木下さん宅を調べたところ,1階廊下で冨子さんがうつぶせになって死んでおり,さらにふすまを隔てた居間で澄子さんがこたつの中であお向けになって死んでいるのが見つかった。2人の死後硬直の進行状態などから,冨子さんは急性心不全で死後約2週間,澄子さんは栄養失調が原因で死後約1週間と分かった。
調べによると,冨子さんは,7年前に夫を病気で亡くした後,夫の遺産を頼りに2人暮らし。冨子さんは心臓や足が弱かったが,澄子さんが父親の死後病弱で寝たきりになったため,冨子さんが看病していた。同署は,冨子さんが突然死亡したため,澄子さんは助けを求めることもできず,衰弱死したとみている(1991. 1. 27. 朝日新聞)。
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