Japanese
English
特集 腰痛―最近の動向
慢性腰痛への対応
Treatment for chronic low back pain.
鷲見 正敏
1
Masatoshi Sumi
1
1独立行政法人労働者健康福祉機構神戸労災病院整形外科,腰痛センター
1Department of Orthopaedic Surgery, Kobe Rosai Hospital
キーワード:
慢性腰痛
,
非特異的腰痛症
,
運動療法
Keyword:
慢性腰痛
,
非特異的腰痛症
,
運動療法
pp.245-250
発行日 2008年3月10日
Published Date 2008/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101201
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慢性腰痛とは
「腰痛」は「腰仙部に局在する疼痛で,神経根に由来する下肢痛や馬尾由来の下肢症状を含む」と定義されている1).しかし,本稿のように「慢性腰痛」として述べる場合には,これらの神経根や馬尾由来の症状を伴うものは含めないほうが理解しやすい.
「腰痛」の頻度は高く,生涯発生率は50~80%にもなるとされている,つまり,多くの人が一生涯に一度は「腰痛」の症状を経験する可能性があることになる.しかし,「腰痛」という病名は「腰が痛い」という患者の訴えを表現しているだけで,「腰が痛く」なってしまう病態は多岐にわたっている.通常,「腰が痛い」と外来受診された患者を診察する場合,「ただの腰痛」,つまり「いわゆる腰痛症」を念頭に入れながら診察を進めていくが,その他にも腰椎椎間板ヘルニアなど脊椎変性疾患から腫瘍や感染症,さらには内科や婦人科,あるいは泌尿器科的疾患に至るまで幅広い疾患群の可能性についても考慮すべきである.これらの疾患群のなかには,安易に「ただの腰痛」(いわゆる腰痛症)として対処してしまうと,取り返しのつかない誤りを犯してしまう疾患もある.
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