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増大特集 リハビリテーション医学2007―最近10年の動向とエビデンス
リハビリテーション・アプローチ
脳外傷などによる高次脳機能障害
Higher brain dysfunction due to traumatic brain injury.
大橋 正洋
1
Masahiro Ohashi
1
1神奈川リハビリテーション病院
1Kanagawa Rehabilitation Hospital
キーワード:
高次脳機能障害
,
脳外傷
,
神経画像検査
Keyword:
高次脳機能障害
,
脳外傷
,
神経画像検査
pp.1039-1045
発行日 2007年10月10日
Published Date 2007/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101063
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はじめに
リハビリテーション医学の分野で「高次脳機能障害」が治療対象として取りあげられるようになったのは20年以上も前のことである.ところが最近の10年間,高次脳機能障害について医療のみならず福祉や労働,さらに行政やマスメディアを介して一般市民も巻き込こむ大きな動きがあった.この原因の一つに,重症脳外傷,蘇生後脳症,脳炎,くも膜下出血などにより,広範囲びまん性の脳損傷を負った人々が,救急医療の進歩によって救命され,年齢が比較的若い人が多いために社会参加の方策を求めてリハビリテーションの現場を訪れる機会が増えていることがある1).
もともと精神科や神経内科では,後天性脳損傷後に患者が示すさまざまな症状を記述し,それを医学的検査や剖検所見と付き合わせてきた.その目指すところは,症状の責任病巣を探り,その知見の積み重ねから,記憶・注意・情動・言語・遂行機能といった認知機能の成り立ちや病態あるいは障害を解明することであった2).最近の画像検査法の進歩は,病理学的検討に依らずとも,生きている人の脳機能を検査することを可能にしつつある.こういった脳科学の進歩も,この分野の医学的活動を活発にしている要因である.
本稿では,脳外傷などの広範囲びまん性脳損傷による高次脳機能障害に対する施策の動向,障害像,医学的検査,そしてリハビリテーションについて概観する.
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