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増大特集 リハビリテーション医学2007―最近10年の動向とエビデンス
リハビリテーション・アプローチ
認知症
Dementia and rehabilitation.
土岐 めぐみ
1
,
石合 純夫
1
Megumi Toki
1
,
Sumio Ishiai
1
1札幌医科大学医学部リハビリテーション医学
1Department of Rehabilitation, Sapporo Medical University, School of Medicine
キーワード:
認知症
,
mild cognitive impairment(MCI)
Keyword:
認知症
,
mild cognitive impairment(MCI)
pp.1047-1052
発行日 2007年10月10日
Published Date 2007/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101064
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はじめに
患者に認知症が認められると,「学習効果がない」,「基本動作は身体で覚えさせるしかない」,場合によっては,「リハビリテーションの適応がない」という雰囲気が,少し前までリハビリテーションの現場には流れていたように思う.しかし,高齢化社会とともに認知症の患者も年々増えており,運動障害と認知症を併せもつ病態に積極的に取り組む必要性が増してきた.介護保険の導入により,介護が必要になる疾患へのアプローチとして,リハビリテーション医学に寄せられる期待は高まってきている.
認知症として治療されている患者のなかには,日常生活動作(ADL)だけではなく,嚥下や呼吸なども含めた包括的リハビリテーションが有効な症例が少なくない.この観点で,精神医学や神経学と共同して,リハビリテーション医学の治療参加が増えることが望まれる.
認知症は,現在のところ長い期間を通して悪化していくため,リハビリテーション介入の目標や期間設定が難しい.しかし,原因疾患の正確な診断によって,ある程度の予後予測や疾病特有の障害の特徴が予想でき,目標設定やアプローチを工夫することができる.リハビリテーションを進めるうえで,チーム全員が共通の理解をもって取り組む姿勢が必要なことは,他の疾患と変わりない.
短期的なADLの改善や,医療や介護の費用・負担を軽減することは,リハビリテーションの効果として当然要求される.しかし,何よりもリハビリテーション医学が,患者や介護者の生命や生活,人生に光をあてられる可能性をもっているという点で,認知症においても意義がある.
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