巻頭言
また新年度がやってきた
安保 雅博
1
1東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座
pp.743
発行日 2007年8月10日
Published Date 2007/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101010
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「御自由にお書き下さって結構です」と編集部から言われたので本稿執筆をお受けした.それにしてもこの4月は,ほとんどプライベートの休みがない忙しさだった.これに輪をかけて,またまた,リハビリテーションに関わる診療報酬改定があり,振り回された.結局,リハビリテーション医の仕事を激増させ何とかなった.いつになったら,書類ばかりではなくて,質のよいリハビリテーション医療を評価してくれるのだろうか.
こんなことには関係なく,今年度のポリクリが始まった.選択実習も始まった.もちろん,入学式があり新入生が入ってきた.今の時代,医学部に入るのは非常に難しい.予備校の偏差値を久しぶりに見たが,私立の医学部でも偏差値が60を切っているところはない.わが母校の慈恵医大も偏差値が70近くになってきた.医者はそんなに魅力的なのだろうか?給料もよくないことを知っているのかな?医者に高い偏差値は必要なのだろうか?などと,この時期,いつも考えてしまう.実際,最近の母校の学生は,頭が良いというか要領の良い学生が多くなってきた.課題を与えると,とても素早く正確にこなしていく.覚えるスピードも早い.大学受験のみならず,中学受験もヒートアップしている.本屋で,たまたま,東京都立高校の社会・理科入試問題を見たが,中学の入試問題のほうが難しいから驚きである.ゆとり教育のせいで,学校の教科書は驚くほど薄くなり,進むペースも遅くなった.小学校高学年から,学校から帰ったらお弁当をもって塾に行くのが普通である.このような環境の下で育ったものが大学に入ってくるのだから,要領の良い学生が多くなるのも当然なのかもしれない.
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