コーヒーブレイク
実習生がやってきた
関根 智紀
1
1国保旭中央病院中央検査科超音波室
pp.253
発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102024
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今年,当院に臨床検査技師を目指す大学生が病院実習にやってきた.学生の病院実習は,神聖な学校教育の一環であるが,なぜか自分と同じ職業を目指す若者が来るというだけで胸の高まりを感じた.
実習の初日,そこには礼儀作法を教え込まれてきた初々しい姿があった.当初,私は教えるという優位な立場で実習生をみたとき,基礎知識がない,積極性に欠ける,目的意識が希薄,病院実習の意味を知っているのか,という少し見下した気持ちを抱いたが,それはすぐに間違いであることに気づいた.実習生の一日は早くて長い.先輩よりも早く検査室に来て,検査の準備をして,足が麻痺するほど立ちんぼで受講.そして検査に同席するときは「学生が付きます」と言われ,掃除までして,これで最後に半人前扱い.これでは少しかわいそうかなと思いきや,実習生から出てきた言葉は「病院実習は楽しい」であった.何故,と問い返すと,「学校の講義と学校実習で学んだことが病院という現場でどのように応用されて実践されているのかがわかった」,「患者さんに接して初めてその責務を強く感じた」と返ってきた.世間では,「最近の若者は……」と悪く言われるなかで,私の前にいるこの実習生たちは明確な目的をもってきている.その姿に共感を覚えると同時に目の前に展開する“教育”に対する責任を痛感した.
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